Book

Outside the Dog Museum犬博物館の外で

ジョナサン・キャロルによるヴェナスクシリーズ。

ジョナサン・キャロルの本の中で一番のお気に入りだし、私の人生に深く根差している。


現実と魔法の境界線を行ったり来たりする。

生活のすぐ隣にある魔法。

生活に入り込んでいる魔法。

気づいたら手に取って、なんだったら所有していたと言える魔法。

性格の悪い嫌味なやつにだって神のご加護はいつだってあるし、気づいたらいい奴になってしまったり何てこともある。

頭のネジがぶっとんでおかしくなったって、それは神の恩恵かも知れない。

性格が悪いけど唯一の特技の仕事で一生懸命に働いたら、理不尽な理由で一晩でぶっ壊されるかも知れない。

それでもそれが神の御心ならばまた再開ができるかも知れない。

性格がねじ曲がってて身持ちの悪い女だって、アラブの王様の息子に見初められるかも知れない。


すごく愛にあふれた内容だと感じる。


性格が悪かったからって、何なんだろう。

倫理観に欠けて身持ちが悪くったって何だっていうんだろう。

二股してた女の片方を寝取られても問題ない。

大使館員の大使にゴミを見るような目で見下されても問題ない。

心を許した友人から「キミって本当に恵まれているのに、なんでいつもそんなに不満だらけなの?」って聞かれたら、ちょっとは反省しよう。


なんというか根本的な、生きているだけでいいんだよ的な大地的なエネルギーと愛を感じるストーリーだった。


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