Book

The Mysterious Stranger不思議な少年

マーク・トウェインのこの小説は、2バージョンが刊行されている。

「不思議な少年」と「不思議な少年 第44号」。

両方ともテーマは大体同じ。

前者はマーク・トウェインの相続者が当時の時勢を鑑みてまろやかに編集したもので、後者の44号の方がマーク・トウェインの原作に近いと言われている。

 

両方を読んだところ、前者は子供向けで、後者は大人向けの皮肉まじりという感じ。

前半はどちらも牧歌的な魅力的な雰囲気に引き込まれるのに反して、後半は怒涛のごとく現実離れした話で畳みかけられる。

田舎町に現れた不思議な少年が、最初は弱く礼儀正しく見え、そして徐々に味方が少しできると不思議な技を披露して人心を惹きつけ、その技が不穏な方向に働き始めた後、不思議な少年の不穏な主張の独壇場で終わる。

 

不思議な少年のいっている事は、仏教で言われていることやキリスト教の新約聖書でイエスが言っていることと同じ。最近で言うと、「サラとソロモン」と言っていることは同じ。

ただ言い方が怖いだけ。

それはたとえば私が今、宝くじに当たったとして(笑)、それを人に伝える時に

「わたし宝くじに高額当選したの!!(喜)」というのと

「わたし…さ、宝くじに高額当選しちゃったんだけど…(暗)」という言い方だと、

宝くじに当たった事実は同じなので、後者は不穏な雰囲気。

でも宝くじに当たったという事実を伝えているのは同じ。

  

不思議な少年の最後の主張はネタバレになってしまうので書くのは控えておくが、今はやりのスピリチュアルとか精神世界のカテゴリになると思う。

ネームバリューのあるマーク・トウェインがこうもはっきりと書いているのに、なぜそのカテゴリ界隈で話題にならないのだろうか。


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