Simple Life Log
ヴァリスとは、 “Vast Active Living Intelligence System” (巨大にして能動的な生ける情報システム)の略。 フィリップ・K・ディックの神秘体験に基づくと言われている自伝的小説。 友人の唐突な自死をきっかけとし、その後の主人公の急進的な神秘体験(覚醒体験)から、グノーシス的宗教要素やオカルトやスピリチュアルや薬物的要素が複雑に絡みあう長編大作。 作中の神秘体験や物語のキーと扱われるもの ・強いピンク色の光(知識をもたらす) ・現代と古代を同時に体験する ・魚のシンボル(初期キリスト教徒のイクトゥス) ・宇宙は情報で構成されている ・プラスマテ(ごく一部の人間のみ感知可能な情報帯) 物語としては、ピンク色の光線に照射されて至高体験を経験しはっきりとした覚醒状態の中で宇宙規模の想像か妄想が広がってるが、小説の中で完結はしない。大きく広げた風呂敷を、そのまま空に放ってしまったような読後感。 狂気であるとも正気であるとも言えるし、 脳内ホルモンによる妄想とも言えるし完全なる覚醒した現実であるとも言える。(映画マトリックスっぽい) 現代でもあるし古代でもあるし 主人公ファットでもあるし、著者のディックであるとも言える。 恍惚であるし、とんでもない精神的苦しみである。 赦しであり、重荷。 天国と地獄。 それぞれのギリギリの境界線をジグザグに歩いているようでいながら、別の視点(次元)から見たら、その線上とは全然別の場所の話だとわかったり、時間をおいて何度読み直してもわからないし、その度に違う話を読んでる気分になる。 うかうか読んでると、ディックの狂気に引きずられかけるし、でもそれは狂気ではなく完全な正気と覚醒かもしれない。 物語の最後の主人公ファットは廃人のようにも見えるし、憑き物がとれてすっきりして身軽な人間にも見える。 魔境から目醒めたのかな。